90年代後半、キューバ音楽「ソン」を世界中に知らしめた、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブを教えてくれたのは、京都・熊野神社近くの路地の奥まったところにあったサルサバー「ピエドラ」のマスターKさん。Kさんの淹れる珈琲がめちゃくちゃうまいと聞いて、最初は珈琲目当てで、古いビルの2階へ上がり、おそるおそる店のドアを開けて・・・。気がつけば、小さなバーカウンターでテキーラ(琥珀色のヴィウダ・デ・ロメロ)を飲んでいたという(笑)。しかも、初めてだというのに飲み過ぎて店に泊まってしまい、翌日、前夜のお礼を言おうと立ち寄ったらふたたび朝までトラップ(こんなことあるんでしょうか)。
お店の音楽は基本、サルサ。でも、「これかっこいいよ」とソンを聴かせてくれ、調子よく飲んで、お酒がガツンと決まりだす頃には、グレン・グールドがかかるという、なんともいい店。こんな思い出も手伝ってか、ソンは飽きることなく10年以上聴いているのでした。
ソンなわけで、親しみのある音楽のひとつでしたが、4年ほど前になるのでしょうか、日本を代表するソンの歌手が遠い親戚に(嬉しいじゃありませんか!)。
歌手の名前は、Makotoさん(糸井重里の「ほぼ日」にも登場。ブログ「マコト日記」を毎日更新中。えらい!)。昨年のべったら市に立ち寄ってくれたときには、よく通る声と、日本語、英語、スペイン語を駆使して外国のお客人まで、楽しい気分にさせてくれたので、覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ソンなわけで、もう何年も前から、いつかはKIWIでライブを!と思っていたところ、ひょんなことから、今週末にしましょうか、という話になりまして。それが、日本橋キューバ・ナイトだったりするわけです。
Makotoさん(左)は、SON四郎という4人グループでも活躍しているのですが、今回は名コンビ、ギターのMuchoさんとのディオ「ドス・ソネス・デ・コラソネス」で登場! このお二人、本場キューバのインターナショナルな音楽祭「トローバ国際音楽祭」に、なんと13年続けて招待されて演奏しているという、まさに日本を代表するゴールデン・ラテン・ミュージシャンなのです。
ソンなわけで(くどいですね)、いつもよりソンを気にして暮らしていると、ふだん見えないものが見えてきたりするものです(オバケとかではないですよ)。
こちらは、ソンの成り立ちに大きな影響を及ぼした「トロバドール」と呼ばれるミュージシャンたち。子どもの付き添いで訪れた近所の図書館にて、この日に限って、棚に並んでいた「キューバ歌謡創世記の歴史」というCDの渋いタイトルが目に飛び込んでくるじゃありませんか。ライナーノーツにある笹尾俊一さんのイラストが素敵だし、せっかくなので四代柳亭痴楽と古今亭志ん朝の落語もいっしょに借りて帰って聴いてみると、これがまたいい(落語もよかった!)。トロバドールたちの音楽は確かに「歌謡」。ファドに近いのかな。かつクラシックの要素が随所に。たまりません。
こんな小さな発見があったときは、京都の「ピエドラ」に行って音楽の話をしながら飲むのが楽しい。「まあ、ええんちゃう」とか言われながら、「これも聴いて」とジャブの応酬。ほかのお客も加わり、テキーラを飲みながら踊ったりして、いつのまにかみんなふらふら。で、グールドが流れるころにはノックダウン。
「ピエドラ」の名前の由来は、パナマ語で「マノス・デ・ピエドラ(石の拳)」と呼ばれた伝説のボクサー、ロベルト・デュランにちなんだもの。ボクシング好きのマスターは、毎晩お酒にノックダウンされていて(笑)、お店は伝説となったのでした。
(H)
Happiness is always delicious!
ギャラリーキッチンKIWI
京都のピエドラさんでの素敵なエピソードを交えながらご紹介頂き光栄です。当日、日本橋で皆さんにお会いできるのを今から心待ちにしています。
返信削除コメントをありがとうございます!明日も寒い一日になりそうですが、Makoto&Muchoのラテンサウンドで心から温まりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
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