バーカウンターの上のロウソク |
「この宇宙をまんべんなく支配するもろもろの法則のうちで、ロウソクが見せてくれる現象にかかわりをもたないものは、一つもないといってよいくらいです」と、一本のロウソクを前に語ったのは、科学者ファラデー。1861年、ロンドン王立研究所主催のクリスマス講話でのことでした。さあ、いったい今夜はどんな話になるのだろう、と身を乗り出す人々を前にファラデーは続けて・・・。
装画が変わる前の角川文庫(岩波文庫もあり) |
時計の針は一気に進んで、2014年1月24日。東京。お江戸日本橋ではじまって2年半になる「大人の科学バー」は、お酒とお料理の話から始まります。
料理の説明をするスヌ子(右奥) |
定番・ディルたっぷり大人のポテサラ、オイスターローフ、いんげんとチーズのトルティージャ、ゆでごぼう赤たまねぎドレッシング、焼きねぎのトリュフ風味、大根ココナッツポタージュ。〆の特製カレーも。お酒は、いつも通り、スパークリングワイン、ビール、赤ワインをたっぷり。ソフトドリンクは、ペリエとジュースいろいろ。
山が燃えとる! |
ちょっと落ちついたかな、というタイミングを見計らって、海編のレギュラーゲスト、海の研究者である後藤忠徳さんのトークが始まりました。今回は、前回の続きで、火山噴火と地震の予知の話をぐっと深めていく予定でしたが・・・。
掘削(穴を掘る)のためのやぐらの写真 |
皆さん、けっこう「穴」がお好きのようで、人類がこれまで一番深く掘った穴の話、かつてアメリカでは、マントルまで掘り抜こうとしたモホール計画があったけれど難しそうなので途中でやめた(でも、同じ時期に有人月面着陸を成功させたアポロ計画は進めた)とか。「生まれ変わったら、深い穴をほっていみたい」という声まで出て(笑)。いま、地球深部探査船「ちきゅう」がマントルまでいずれ掘り抜こうとしているわけですが、楽しみにしているファンは意外と多いのかも。
お料理が完売 |
火山噴火の予知はかなり正確にできるようになった経緯に続いて、地震の予知の話。日本列島、特に東日本にかかわるプレートの動き、4つのプレートがせめぎあう関東の地下の特殊事情ゆえの研究の困難さのお話へ。一方で、いろいろわかっていることもあり、これまでの研究から、地下5〜15キロの深さで75パーセントの地震は起こるそう。じゃあ、原発の再稼働を許可するとかしないとかで調べている断層調査は意味がないんじゃない? というような質問も出て、一同やや神妙な顔つきに。
深刻な話ほど笑顔で |
「そう」と受けた後藤さんは続けて、「原発の周囲は無闇に穴をあけられないから、穴を掘らずに調べる方法を使ったり、あとは『活動度※』についてもっと議論されるべきでしょうね」と。地震の予知についても、いまは正確なものは出せないけれど、子どもの世代の次の次、ひ孫の世代には何かしら役立つものが出来るのでは、という長いスパンで研究は続けていく必要がある、とも。その根拠は、
「地球は思っていたより複雑だけど、
思っているほど不規則ではない」
から。地震にしても、気候変動にしても、すでにいろいろな規則性は多く発見されているのは確か。サンプルを増やして、測定の精度を高めて、英知を結集して考えれば、これまで知られていなかった新たな規則性をつかめるのではないか。
「穴」にハマって、本日はこれにておしまい。でも、いいんです。「日々ちょっと気になっていたことを専門家に直接聞けてすっきりした」という声が多く、終了後も遅くまで、お酒を片手に特別講義は続いたのでした。また機会を改めて「断層の正体」に迫っていくことになるのでしょう。
次回は、3月下旬開催予定。どうぞ、お楽しみに!
※活動度:
活断層の活動の活発さの程度。その活断層が長期間にずれを累積してきた平均的な速さにより表される。
活動度A級の活断層は、1,000年あたりの平均的なずれの量が1 m以上10m未満、
活動度B級の活断層は、1,000年あたりの平均的なずれの量が10cm以上1 m未満、
活動度C級の活断層は、1,000年あたりの平均的なずれの量が1 cm以上10cm未満。
地震調査研究推進本部ホームページより
(H)
Happiness is always delicious!
ギャラリーキッチンKIWI
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