2012年9月5日水曜日

【ルポ】科学バー 海編 vol.5

バーごはんは、KIWIの料理家スヌ子による、
ディルと赤玉ねぎの豚しゃぶサラダ、スペイン風オムレツ、
ナスのスパイシーサラダ、アボカド・ディップなど、たっぷり。
暑い夜でしたので、冷たいスパークリングとビールの売れ行きがすごい。

こちらは、黒カビで発酵させた南仏のレアなチーズ
「ロッシュノワール(黒い岩)」。
本物の岩のような見た目に一同驚き、
というのは冗談で……、
ゲストの後藤忠徳さん(下の写真:右手にしっかりビール)が、
沖縄沖の水深約1100メートルに潜ってとってきた黒鉱(くろこう)。
注:食べられません。
ここは、科学バー。
お酒で気分も上々、お腹も満たされたところで、
今夜も、海の話にどっぷり浸かっていただきましょう。

本日のお題は「海底に眠る資源を探せ!」と、
次回の予告をかねての「ちきゅうレポート」。

沖縄沖の黒鉱は、銅、鉄、銀、ほか話題のレアアースを豊富に含み、
埋蔵量も多いのでは? と注目されているのですね。

というわけで、後藤さんが、
実際のところどんなもんやろう、と自作の最新観測機器を
しんかい6500に積んで沖縄沖の深海に潜ったわけです。

しんかい6500から撮影した深海の様子。
これだと何だかよくわからない! ですよね。
深海1000メートル付近で見つけたのは、
温泉のように熱水が噴き出している場所(熱水噴出孔)。
その周辺に黒鉱が溜まり、高さ20メートルほどの
塚のような地形(チムニー)をつくっているのです。

チムニーができる仕組みは、
断面図のほうがピンとくるはず。
後藤さんのつくるスライドはどれも気配りが行き届いています。
青色は海、茶色が海底。矢印は海水の流れ。
海底にしみ込みこんだ海水は、
マグマなどで熱せられてアッチッチの熱水となり、
やがて熱水噴出孔(海底の穴)から噴き出します。
熱水は、鉱物をたっぷり含んで見た目が黒っぽい。
「ブラックスモーカー」という名前がついているくらいです。
このブラックスモーカー(図:クリーム色のもやもやした部分)のなかの鉱物が、
熱水噴出孔のまわり(図:オレンジ色の部分)にたまり、
1年で高さ8メートルくらいの黒鉱のチムニーができるのです。
ニョキニョキ伸びる! といっても大げさじゃないスピード。

驚いたのは、いまこの黒鉱を“養殖”しようとしていること。
海底に穴をあけて、熱水を噴出させて黒鉱のチムニーを人工的につくる計画。
どう回収するか、コストは? と問題山積みですが、
今年3月から、調査・研究は進められています。

……というような話で、いつも以上に盛り上がり、
いい時間になりましたので、〆の特製カレーをサーブ。
夏ですから、辛口のタイカレーを(これが目当てという方も)。

休憩時間に語り合う、気象学者の茂木耕作さんと後藤さん。

科学バーの最後は、次回の予告もかねて、
写真も撮れる店主の江口暢久さんから、簡単に「ちきゅうレポート」。
3.11の巨大地震を起こしたプレート境界断層に、
温度計を設置することに成功した話。
深海7000メートルまで長いパイプをつなぎ、
その海底からさらに850メートルをドリルで掘り、
その穴に温度計を設置するという、気の遠くなるようなプロジェクト。
一度失敗しているだけに、
ちょっと感動的な話になっていました(詳しくは「ちきゅうTV」をご覧ください)



次回の科学バー<海編 vol.6>は、10月下旬開催予定。
店主の江口さんがメインで、ちきゅうの話を。
後藤さんが店主を務める予定です。
日程は決まり次第、お知らせいたします。

 9月21日(金)19時〜

(H)

Happiness is always delicious
ギャラリーキッチンKIWI

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