2012年12月27日木曜日

【ルポ】科学バー サル編 vol.2「ヒトは料理で進化した?」

科学バー、サル編です。
雑誌「anan」の「男のホンネ特集」の小さな記事から、
この晩は始まりました。

男ってどうしてこうなの?
料理はマスト?

アンケートに答えた男性(20代?)の多くが、
女性に料理を作ってもらいたいと思っている。
いつの時代も変わらないけれど、
なんでだろう? というギモンを生物学的に考えましょう。

まず「進化の隣人」と呼ばれる、
野生チンパンジーの食の傾向を紹介。
これはゲストの山越さんの十八番のひとつ。
西アフリカにあるギニアの鎮守の森で、
ひたすら野生チンパンジーを観察し続けたからでしょう、
動物のことというより、親戚か家族の話をしているような、
そんな口ぶりです。
よく調べてみると、野生チンパンジーの食性は、
熟した果実、葉、草本の髄、アリから、
肉、イモ類、ナッツ類などに依存していったそう。

食の変化は何をもたらすのか?

それは、脳の大型化でした。
消化率が上がると、食べる時間、
消化する時間も短くなり、消化器官の役割が小さくなる。
その分あまったエネルギーが脳にいく。

(ちょっとはしょりますが、)

ヒトではさらに、火を使い、
調理をすることで消化率が飛躍的にアップして、
それがさらなる脳の大型化をうながしたのでは?
という説があるのです(注)

この後は、
より効率アップをめざすのが人間ですから、
調理場が登場して、食糧という財産を守る必要がでてきた。
食べ物を獲って帰る夫と、
それを調理して家族に食べさせる妻という役割分担は、
いずれ一夫一妻制となる。

これが何万年前からなのかはわかっていませんが、
火の使用の痕跡は60万年前まで遡れるので、
食にまつわる夫と妻の役割分担には、
けっこうな歴史があるのかも。

というわけで、もう遥か昔から、
男性は女性に料理をつくってもらいたがり、
女性は男性の「胃袋をつかもう」としてきたわけです。

ananのライター、編集者も、
ここまで記事を深読みされるとは思ってもいないでしょう。

もう少し詳しく知りたい方は、
リチャード・ランガム著『火の賜物』(NTT出版)をご一読ください。

年末年始はギニア(西アフリカ)に滞在中の山越さんと、
次のテーマを相談中。今のところ、「お酒」が有力候補。
次回は2月の予定です。おたのしみに!

*注
人類史は400〜500万年ほど前から
始まったというのが通説。でも、火の使用の痕跡は、
まだ60万年前までしか遡れない(遺跡が見つからない)。
だから裏付けができたわけではない。


(H)

Happiness is always delicious
ギャラリーキッチンKIWI

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